ここに書かれていることは無保証です。同じことを行って問題が発生しても、 龍義は責任をとりません。

2011年7月31日

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TF125 エンジンを考える

同じエンジン
TF125 に搭載されているのは、ボア×ストロークが 56.0×50.0 で 123.15cc の 2ストロークエンジンである。これは空冷時代の TS125(日本ではハスラー)の エンジンの流用である。これと同じエンジンを他の車種でも採用しており、その エンジンについて調べる。尚、同じボア×ストロークの GP125 は、ロータリー ディスクバルブを採用しており、構造が大きく違うため対象外とする。また、 水冷化された TS125(TS125X/R)は、ボア×ストロークが 56.0×50.6 となって おり、同様に除外する。 TF125 エンジン
エンジン

エンジンの流れ
このエンジンは、1971年に TS125 に搭載されたのが始まりで、日本での公道モデル だと、RV125 にも採用された。TS125 のエンジンを中心にした年表は以下の通り。 1971年 TS125 発売 1972年 RV125 発売、TC125 発売(4×2ギア) 1975年 クラッチの構造変更 1977年 リードバルブ採用 1978年 6速化、ギアオイル量変更、TF125 発売 1984年 エンジン水冷化 TS125X(/RA125) 1983年以降は TF125 や後進国向け TS125ER に細々と使われていたが、TS125ER は 20世紀には製造が終わり、現在は TF125 のみとなった。 このエンジンを搭載した機種の中で、最もパワーがあるのは RM125 で27馬力、 市販モデルだと空冷最終型の TS125 で15馬力である。逆に馬力が一番がないのは RV125 で10馬力である。TS125 はキャブレタに VM24SH を装備しているが、RV125 は VM22SH と一回り小さいものを採用しているのも幾分関係しているのでしょう。 逆に TM125 等は VM26SH と一回り大きなものを採用している。
シリンダーとピストン
ピストン、シリンダーヘッド、シリンダー、シリンダーとクランクケースの間の ガスケットの型番を拾ってみた。ガスケットは、型番が一致していれば、別の シリンダーが載せられる可能性が高いという理由で記述している。
車種 ピストン シリンダー ガスケット ヘッド
1971 TS12512110-28001
(12110-28000)
11210-28000 11241-28000 11111-27301
(11111-27300)
1972 TC12512110-28001
(12110-28000)
11210-28000 11241-28000 11111-27301
(11111-27300)
1973 TS12512110-28000
(12110-27300)
11210-27301
(11210-27300)
11241-28000 11111-27301
(11111-27300)
1973 RV12512110-28000
(12110-27300)
11210-27301
(11210-27300)
11241-28000 11111-27301
(11111-27300)
1973 TM12512110-41731
(12110-28980)
11210-28300 11241-28001
(11241-28000)
11111-28300
1975 RM12512110-41731
(12110-41002)
11210-41001 11241-28601
(11241-28600)
11111-28303
1976 TS12512110-28003 11210-28002 11241-28600 11111-28402
1976 RM12512110-41300 11210-41303 11241-41321
(11241-41300)
11111-41300
1977 RV12512110-48001
(12110-28003)
11210-27301 11241-28001
(11241-28000)
11111-27301
(11111-27300)
1977 RM12512110-41311
(12110-41640)
11210-41310
(11210-41631)
11241-41321
(11241-41630)
11111-41631
(11111-41630)
1978 TS12512110-48001
(12110-48000)
11210-48011
(11210-48000)
11241-41321
(11241-41300)
11111-48003
(11111-48002)
1979 DS12512110-48001
(12110-48000)
11210-48011
(11210-48000)
11241-41321
(11241-41300)
11111-48003
(11111-48002)
1980 TS12512110-48001
(12110-48000)
11210-48011
(11210-48010)
11241-41321
(11241-41300)
11111-48003
1980 RM12512110-41311
(12110-41310)
11210-40203
(11210-40202)
11241-40201-H17
(11241-40200)
11111-40202
1999 TS12512110-48001
(12110-48000)
11210-48011
(11210-48010)
11241-41321
(11241-41300)
11111-48003
2005 TF12512110-48001 11210-48400 11241-41321 11111-48003
TM や RM はレーサーだけあってモデルチェンジが多く、全て追いきれていないと 思う。部品の Replace も全て追いきれていないはず。 現在の TF125 エンジンは1978年での TS125 のときにほぼ仕様が決まったようで、 そのまま大きな変更をせずに作られ続けているようである。
シリンダヘッド形状
シリンダヘッドは6種類確認している。以下がその一覧である。
11111-48003
(11111-48002)
TF125 DS125 TS125
11111-48740
(11111-48730)
TS125ER
11111-27302
(11111-27301)
(11111-27300)
TS125(初期) RV125 TC125(初期)
11111-28300TM125
11111-28303RM125
11111-28402TC125 TS125
その他に、形状を確認できていないが 11111-28401, 11111-28703 も存在して いるようである。11111-27302 と 11111-28300 にはプラグ穴が2つ開いており、 11111-27302 は中心から離れた左右にプラグ穴が、11111-28300 は中心にプラグが 1つ、少しずれてもう1つプラグ穴が開いている。上記の図でもわかるように、 どちらも片側に蓋をしていて使用できないようにしている。何かの機種でツイン プラグだったものがあったのかもしれないと思い、調べたみたが見つからなかった。 燃焼温度を見るなどの、別の目的のものなのかもしれない。 綺麗な位置にプラグ穴が開いているので、燃費向上等を狙ったツインプラグ化が 比較的簡単に出来る。パワーアップにも繋がるので、余裕があれば試してみたい ところ。 11111-28303 と 11111-28402 は、シリンダスタッドが6本で、この2つもお互い ネジ位置が異なるので流用することができない。11111-28303 はシリンダの厚みが あり、RM に搭載されていたので放熱や耐久性を狙ったものなのでしょう。その分 重くなっている可能性もあるので、交換した場合での優位性は不明である。
ギア
TS125 系のエンジンは5速ギア、6速ギア、2×4速ギアのどれかの組み合わせに なる。2×4速ギアは TC125 や RV125 の一部が搭載しており、クランクケース 左側のドライブスプロケットの上辺りに副変速機の切替スイッチがあって、CT110 と同じような使われ方をするものと思われる。 この TC125 は海外向けで、日本では未発売だったが、前身の TC120 は日本で発売 されていた。TS125 と TC125 を併売していた仕向地では、TS125 は日本で発売 されていたロードよりの TS125T のような装備をしていたりして、棲み分けを おこなっていたようである。 以下に適当な車種のギア比をあげる。RM125 はバリエーションが多くあり、5速の ものがあったり、年式や仕向け地によって違っている可能性がある。
車種 プライマリ 1速 2速 3速 4速 5速 6速 ファイナル
1971 TS1253.562
(57/16)
2.750
(33/12)
1.812
(29/16)
1.250
(25/20)
1.000
(23/23)
0.800
(20/25)
3.333
(50/15)
1972 TC1253.562
(57/16)
2.462
(32/13)
1.563
(25/16)
1.105
(21/19)
0.864
(19/22)
(4速t)1.571
  (22/14)
3.083
(37/12)
1973 RV1253.562
(57/16)
2.750
(33/12)
1.812
(29/16)
1.250
(25/20)
1.000
(23/23)
0.800
(20/25)
3.400
(51/15)
1974 TM1253.389
(61/18)
2.143
(30/14)
1.588
(27/17)
1.250
(25/20)
1.045
(23/22)
0.913
(21/23)
4.286
(60/14)
1976 RM1253.706
(63/17)
2.333
(28/12)
1.750
(28/16)
1.412
(24/17)
1.190
(25/21)
1.045
(23/22)
0.957
(22/23)
4.071
(57/14)
1977 TS1253.562
(57/16)
3.090
(34/11)
2.000
(30/15)
1.368
(26/19)
1.095
(23/21)
0.875
(21/24)
2.933
(44/15)
1978 TS1253.562
(57/16)
3.090
(34/11)
2.000
(30/15)
1.368
(26/19)
1.095
(23/21)
0.956
(22/23)
0.840
(21/25)
2.933
(44/15)
1980 DS1253.562
(57/16)
3.090
(34/11)
2.000
(30/15)
1.368
(26/19)
1.095
(23/21)
0.875
(21/24)
2.933
(44/15)
1999 TS125
(TS125ER)
3.562
(57/16)
3.090
(34/11)
2.000
(30/15)
1.368
(26/19)
1.095
(23/21)
0.956
(22/23)
0.840
(21/25)
2.933
(44/15)
2005 TF1253.562
(57/16)
3.500
(35/10)
2.000
(30/15)
1.368
(26/19)
1.095
(23/21)
0.875
(21/24)
0.730
(19/26)
4.230
(55/13)
TC125 の副変速機(サブトランスミッション)では、4速用ギアが2種類あり、 1~3速の場合は4速のギアを利用して別軸に渡し戻してギア比を変更している。 パーツカタログを見るだけでは少しわかり辛い構造で、1~3速でのトレール ポジションの場合は 22/19 と 22/14 を通って、1.820 が追加される計算だと 思われるが、本当に正しいのかは自信ない。
ちょっと愚痴
30年以上も前の車種を調べるとなると、資料の乏しさや間違いに遭遇して意外と 確認するのが大変である。例えば、TC125 の2速ドリブン側のギア(24321-28200) は、alpha-sports のパーツカタログでは26丁となっていて、手元のカタログでの 2速のドリブンは25丁の表記であった。どちらが正しいのか、それとも部品が 変わったのか、と考えたりしたのだが、e-bay に上記の部品番号の部品が出て いて、写真から歯数を数えて25丁とわかり、(元のデータはどこからのものだか 不明だが)alpha-sports の間違いなのだとわかった。他にも、megazip の年式の 間違いなど、間違いと気が付くまで時間がかかり大変であった。 間違いの伝播を防ぐのと、また調べなおす必要がないようにと今ここに書いて いるが、古い機種だと本当に苦労する。

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