ここに書かれていることは無保証です。同じことを行って問題が発生しても、 龍義は責任をとりません。

2015年12月25日

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ボアアップを考える

ボアアップの種類 クリスマス特別企画第二弾。今日はボアアップの話。 ボアアップする場合、いくつか方法が考えられる。まず簡単なのが、オーバー サイズのピストンを用意し、シリンダーをボーリングして行う方法。この方法は どちらかと言うと保守的な感じの扱い。他に、同系エンジンで排気量が大きな シリンダとピストンを利用するもの、さらに別のピストンとボーリングした シリンダを利用するものが考えられる。 engine ボアアップについていくつか調べてみた。
オーバーサイズピストン 一度ピストンの純正部品について書いて、それから特に大きな部品変更や追加が なかったので、純正についてはそちらを参考にしてもらいたい。 そのページにも書いたが、TKRJ からオーバーサイズピストンが発売されていて、 標準サイズから 2mm オーバーまで 0.25mm 刻みで揃えている。 TKRJ Piston WISECO のオーバーサイズのピストンは、54mm, 54.5mm, 55mm の三種類が発売 されている。 WISECO 54mm WISECO 54.5mm WISECO 55mm Vertex からは、54mm, 54.25mm, 54.50mm, 56mm のラインナップ。リング付きの セットの商品番号は 23349, 23349025, 23349050, 23049200 となっている。 Wossner では、54mm, 54.5mm, 55mm の三種類。 TTR125 54 mm Bore (PN# 8649DA) TTR125 54.5 mm Bore (PN# 8649D050) TTR125 55 mm Bore (PN# 8649D100) 長距離走行した車両での保守部品としては、十分揃っている環境かな。
同系エンジンを使う 同じエンジンでシリンダが違う機種の部品を使うことで、比較的リスクが少なく ボアアップすることができる。 ・SCORPA トライアル車などを製造している SCORPA は、同じエンジンで 143cc と 163cc のエンジンを用いている。 TY-S175F Racing TY-S175F ではボアが 58mm の 143cc エンジンで、SY200FR ではボアが 62mm の 163cc のエンジン。どちらも、どこで製造されたピストンなのかは不明。値段は 高そうだが、それなりに信頼がある製品を使っているのではと思う。 ・JIANSHE など 重慶建設二輪は、グループ会社の建設ヤマハでエンジンを製造していることも あって、YBR125 と同じエンジンの機種やボアアップ版のエンジンを搭載した機種を 発売している。 エンジン単体でも販売していて、YBF125, YBF139, YBF150 といった名前が付け られている。どの名前も実際の排気量より微妙に多い名前になっていたりして 少しわかり辛い。 YBF139 は2010年に開発されたエンジンのようで、中国二輪車網(mtuo)のページで 製造の様子などが見られる。 YBF バランサー付きエンジンの秘密を解く その年、このエンジンは重慶建設二輪の JS125-28 に最初に搭載されたようで ある。 重慶建設二輪 JS125-28 "沐風YBF139" 発売 ボアが 57mm の 137.8cc のエンジンとなっていて、シリンダは流用しているのか エンジン自体の見た目は変わらない。 YBF139YBF139 YBF139 重慶建設グループの田達(TIANDA)や重慶二輪(CQ Motor)などの機種に搭載されて いて、田達でも F39 という名前で同じエンジンを販売している。 F39 F39 ただ、排気量が中途半端なためか、あまり採用している機種がないように見える。 YBF150 はボアをさらに 58.5mm に広げて 144.6cc にしたものである。馬力が 増えたためにクラッチを強化したのか、クラッチ構造が変更になっており、125cc ではクラッチの反対側からプッシュロッドを介していたのが、クラッチ側で直接 可動させるようになっている。 YBF150YBF150 YBF150 シリンダに関しては特に大きくなった感じがしないので、これも 123.7cc のものを 流用しているのではないかと思う。写真は重慶建設二輪(JIANSHE) JS150-32 の OEM 版である Salcano SB150 のエンジン。 Salcano SB150 SB150 表を作ってみた。出力性能は参考値で、中国で登録されているエンジン形式も 併記した。グループ会社の田達(TIANDA)での呼び名も書いたが、きっちりと統一 されてない感じである。
JIANSHEbore displacePowerREG No TIANDA
YBF12554mm 123.7cc 7.1kwJS154FMIF28
YBF13957mm 137.8cc 8.0kwJS157FMJF39
YBF15058.5mm144.6cc 8.1kwJS158FMJF51
信頼性については、このエンジンを使った機種が発売されているので、少しは 安心感がある。このピストンやシリンダーを流用したボアアップキットも taobao などで見かけたりする。
ちょっと変なエンジン 田達(TIANDA)のページには、ちょっと変なエンジンが出ている。まずは、よく 見るYBR125 などと同じエンジン。 F28YBF125 F28 / YBF125 次は、TIANDA のページにあった変なエンジン。パッと見た感じだとエンジン右側は 同じように見えるのだが、ポイントはセルモータの位置。 E型E型 セルモータはシリンダの後側になり、その影響でかクラッチの操作はクラッチ上から 行うようになっている。シリンダヘッドの形状も違うので、詳細が気になるところ なのだけど、緒元が書かれていないのでボアやストロークは不明。 何でこんなものがあるのか少し考えてみて、思い浮かんだのがエンジンの乗せ換え するときにセルモータが邪魔だったのじゃないかと。例えば、重慶二輪(CQ Motor) では GN125 風の車体に CG125 のようなエンジンと YBR125 のようなエンジンを 載せて売っている。 CQ125-8ECQ125-8E CQ125-13ECQ125-13E 同じように田達(TIANDA)では、GN125 風の車体に CG125 のようなエンジンや、 GS125 と言うかオリジナル風のエンジンを載せて売っている。 TD125-45TD125-45 TD125-45TD125-45 こんな感じで、他の車体に YBR125 のエンジンを乗せようとして、セルモータが 当たってしまい、その対策としてシリンダ後ろに移動したのでは、という予想を していたが、エンジン反対側の写真を見つけた。 E型E型 そのまゝ CG125 系のエンジンだな。なので、シリンダも YBR125 のものとは別物。 比較のため、CG125 系のエンジンを見てみる。 CG125 系CG125 系 このE型は、CG125 系のエンジンを YBR125 系のエンジン風に見せるだけのもの なのかもしれない。
ボアアップキットなど 名の通ったアフターパーツメーカーから怪しげな個人まで、色々なところから ボアアップキットを出している。ざっと眺めた感じをメモ代わりに書いていこう かと。 ・キタコ キタコはボアアップキットを販売していた。商品番号は 212-0409700 で、既に 発売は終了してしまったようである。一応、TT-R125 用ということで、ボアが 58mm の 143cc のキットだった。 KITACO 212-0409700 ・KO Racing KO Racing というところからボア 57.5mm で 140cc になるボアアップキットが 発売されている。 KO Racing ・TOM'S TOM'S というところから 171cc のキットが発売されている。ピストンのサイズは 書かれていないが、計算から 63.5mm ぐらいのようである。また、以前は 150cc の キットも発売していた。 TOM'S ・BBR Motorsports BBR Motorsports から TT-R 150 Big Bore Kit with Cam が発売されている。 150 とは書いてあるが、ボアが 58mm の 143cc となっている。 BBR Motorsports ・B&J Racing B&J Racing からは 143cc と 160cc のボアアップキットが出ている。計算から ボアは 58mm ぐらいと 61.5mm ぐらいかな。 B&J Racing ・L.A.SLEEVE L.A.SLEEVE から、TT-R125 to 145 Big Bore Kit という製品が発売されている。 ピストンのボア径については不明。 L.A.SLEEVE ・過去には 過去にはワイセコからや、レアルエキップのブランド名を使っているトライアル プロモーションからボアアップキットが出ていたみたいである。 ・その他 また、中国の売買サイトや、Amazon、Rakuten、ebay などで小さな店や個人が 販売しているのを見かける。信頼性は疑問だが、何と言ってもその安さは圧倒的 なので、魅力と言えば魅力。色々なページをざっと眺めてみたが、57mm 以外の ピストンは台湾にある台北機研社(台北車業・MTRT)製のものが多い。57.4mm の ピストンは、ホンダ GY6 のエンジンを 150cc にするものの流用らしく、粗悪な 加工のものが見られる。 見かけた中で一番大きな排気量は182cc で、65.5mm のピストンを使用している。 このピストンは宗申の CB250 と言う中国で有名なエンジンのものを流用している ようである。 宗申 CB250宗申 CB250 シリンダは見たものが全て純正の流用のようで、5VL や 5HH などの刻印がある。 精度は期待できないものがあるだろうから、気になるなら内燃機屋に持ち込む ことになるでしょう。
ボアと排気量の一覧 毎回計算するのが面倒だったので、ボア径と排気量の関係を表にした。ストロークは 固定の 54mm のまゝ。
bore
(mm)
displace
(cc)
54123.67
55128.29
56133.00
57137.79
58142.67
59147.63
60152.68
61157.81
62163.03
63168.33
64173.72
65179.19
66184.74
やるなら 150cc ぐらいにはしたいな。

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